映画鑑賞は、非日常を味わったり、癒やしや心のゆとりを感じたりする体験につながることがあります。作品が家族や友人との思い出になり、観た後の会話のきっかけになる場合もあります。一方で、幸福度が必ず上がる、ストレスが確実に軽くなるとまでは言えません。調査では映画館に行く頻度と幸福感に関する項目の関連が報告されていますが、映画鑑賞による因果関係を示したものではありません。
映画鑑賞で期待できるメリット
映画を観る時間は、普段の生活から少し離れて作品の世界に触れる機会になります。映画館での鑑賞について、松竹の調査では「非日常を味わえる」「思い出になる」「癒やされる」「心にゆとりをもてる」といった効果を感じる人がいたと紹介されています。
こうした結果は、映画鑑賞を通じてどのような体験をしたと感じる人がいるかを示すものです。鑑賞すれば誰もが同じように癒やされるという意味ではありません。作品の内容やその日の気分、鑑賞する環境などによって、受け止め方は変わります。
映画は、観た後に感想を話したり、後から思い出したりするきっかけにもなります。松竹の調査ページは、映画館での鑑賞が家族や友人との会話など、コミュニケーションを促す可能性にも触れています。映画を共通の話題にできることはありますが、対人関係への効果が誰にでも生じると証明されているわけではありません。
幸福感との関係は調査でどう報告された?
松竹の調査では、映画館に年5回以上行く人は、年0回の人と比べて、「生活満足」「充実感」「健康」「生きがい」「希望」を感じている割合が10%以上高かったと報告されています。これらの項目をまとめて「幸福度」としています。
調査は2018年6月8日から11日に実施されたインターネットアンケートで、対象は全国の15~69歳の男女2,230人です。映画館での鑑賞だけでなく、自宅での映画鑑賞など複数の余暇活動についても尋ねています。詳しくは松竹「第1回レポート 生活の『幸福度』」で確認できます。
ここで示されているのは、映画館に行く頻度と幸福感に関する回答との関連です。映画館に行くことで幸福度が上がったという因果関係を証明した結果ではありません。「10%以上高い」という表現も、調査ページの記載以上に差の意味を読み替えないようにしましょう。
また、この調査は2018年の特定の対象者に対するものです。映画鑑賞全般や現在の鑑賞者に、そのまま当てはめられる統計ではありません。結果を読むときは、実施時期や対象、映画館での鑑賞についての調査であることを踏まえる必要があります。
ストレス解消の効果はどこまで言える?
松竹の調査ページでは、映画館での鑑賞について「ストレスを解消できる」と感じる人がいたことが紹介されています。映画を観て気分転換になったと感じることはありますが、この回答は鑑賞者の認識を示すものです。医学的なストレス軽減効果や、効果がどれくらい続くかを証明する結果ではありません。
そのため、「映画を観ればストレスが必ず軽くなる」「鑑賞後も効果が長く続く」とは言えません。気分転換をしたいときは、観たいと思える作品を選ぶ、落ち着いて観られる環境をつくるなど、自分にとって楽しみやすい方法を試すのが現実的です。鑑賞しても気分が変わらないことを、映画の観方が悪かったと考える必要はありません。
映画館と自宅、どちらで観る?
映画館は、大画面や音響を含む鑑賞環境を楽しみたいときの選択肢です。映画館と自宅では周囲の環境が異なり、それによって作品への注目の向け方や体験が変わる可能性があります。ダイヤモンド・オンラインの記事も、映画館の大画面・大音響と、自宅でスマートフォンなどに気を取られながら観る状況を例に、環境による体験の違いを説明しています。
ただし、これは映画館の方が誰にとっても優れているという比較試験の結果ではありません。自宅でも作品に集中できる人はいますし、映画館の環境が合わない人もいます。大画面や音響を楽しみたいなら映画館、慣れた環境で自分のペースで観たいなら自宅というように、目的や好みに合わせて選べます。
一人で観る?誰かと観る?
松竹の調査では、映画館での鑑賞形態として「一人で」が47%、「家族・親戚と」が48%、「友人・知人と」が30%と報告されています。複数の形で鑑賞されていることを示す数字ですが、一人と複数人のどちらが心理的なメリットに優れているかを比べた結果ではありません。
一人で観る場合は、鑑賞する作品や時間を自分で決めやすいことが利点になるでしょう。誰かと観る場合は、鑑賞後に感想を話したり、作品を共通の思い出にしたりできます。どちらを選ぶかは、そのときの気分や一緒に観たい人の有無に合わせて構いません。
効果を期待するときに知っておきたいこと
映画鑑賞で期待できるのは、非日常感や癒やし、心のゆとり、思い出や会話のきっかけなど、鑑賞者が感じる体験です。幸福感やストレスへの影響は、調査結果の対象や条件を踏まえて受け止めましょう。映画鑑賞が共感力や学力、認知機能を高めるといった効果も、ここで紹介した資料からは確認できません。
まとめ
映画鑑賞は、気分転換や非日常感、癒やし、思い出づくりや会話のきっかけになることがあります。松竹の調査では、映画館に行く頻度と幸福感に関する項目の関連が報告されましたが、映画鑑賞が幸福度を高めたという因果関係や、ストレスを必ず軽減する効果を示すものではありません。
映画館か自宅か、一人か誰かと観るかは、楽しみやすい環境に合わせて選びましょう。調査結果は一つの参考情報として捉え、自分が心地よく鑑賞できる方法を見つけることが大切です。
